65 痩せ薬?

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65 痩せ薬?

次の日、とりあえずミイラ女のドレスを仕立て屋に頼み、私は相変わらず薬部屋にて調合をしていた。 すると、薬部屋のドアがノックされた。 「お客様でございます。」 サリーが言った。 「あぁ、今行く!」 私は調合をさっと終え、部屋に戻った。 ソファには、桜のドレスを着たふくよかな女性が座っていた。 「初めまして。 薬師のマリーナと申しまする。」 「おぉ… あなたが噂の薬師ですか… 私は桜の後宮のウィアと申します。 有名な公爵の出で、第1王子バルサック様の婚約者として桜の後宮に入りました。」 「はい、何か問題があるのですか?」 私はそう尋ねた。 「問題は大ありです。 私の体型を見てください。 太っていて、ドレスも特注しているのです。 バルサック様は私と一晩過ごした後、私の部屋に寄り付こうともしません。」 「は、はぁ… しかし、私は病人をみる薬師でして… 恋愛相談には乗れませぬが…」 「恋愛相談などではありません。 マリーナ、痩せ薬を処方してくださいませんか?」 ウィア様は言う。 「痩せ薬、でございますか???」 「えぇ、色々な下剤も試しましたが、お腹が痛くなるばかりで、効果はなく…」 「ちょっとお待ちください! 痩せ薬などは、ありませぬ! そんな都合の良いものがあれば、みんな使うておりまする!」 「そんな… でも、私はこのままでは誰にも愛されずに後宮に埋もれてしまいます…」 ウィア様は泣き始めてしまった。 「うーん… ウィア様、痩せ薬などはありませぬが、それを手伝う事は出来るやもしれませぬ。」 「本当ですか!?!?」 「はい。 いくつか私の質問にお答えくださいますか?」 「はい、もちろんですわ。」 「食欲はありますか?」 「いいえ、太ってはいますが、少食で…」 「むくみなどはありますか?」 「えぇ、あります。 もう、手や足などパンパンですのよ。」 「胃に異常はありませぬか?」 「そう言えばちょっと胃もたれするような… だから、少ししか食べられないのかも…?」 「分かりました。」 私は言う。 「本当ですか!? 私は痩せられるのでしょうか?」 「ウィア様は気虚の状態にございます。 エネルギー不足で燃焼する力が弱いので、まずは一旦しっかりと食事を取ってください。」 「はぁ… でも、それでは太るのでは…?」 「いいえ、まずは身体が健康である事が痩せるには大切なのです。 同時に、この香砂六君子湯を飲んでくだされ。 この薬は胃腸の機能を高めて、余分な水分を排出しまする。 あとは、食事内容も小麦粉や菓子などは避け、米や肉、野菜をしっかりと食べてくだされ。 私に言えるのは、それぐらいでございます。」 ウィア様は少し笑顔になり、薬を持って帰っていかれた。 ******************** 調べて書いてはいますが、あくまでフィクションです(^_^;) 痩せる薬はありませんm(_ _)m
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