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1 婚約破棄されて…
私は今ある夜会で婚約破棄を言い渡されている。
理由は浮気をしたのに婚約書にサインしたという偽証罪、並びに、王家の悪口を言いふらしたという不敬罪。
普通に考えたら、王家の悪口を言いふらすとか、頭悪い事する!?と思うのだが、それを見た、聞いた、という者が手を挙げ初めた。
その時、私は婚約者のベルゼに陥れられた、と悟ったのだった。
浮気をしていたのは、ベルゼであり、王室を軽んじていたのもまた、ベルゼであった。
私がそれを言わなかった為に、その隙をついて…
おそらく、邪魔な私を始末して、浮気相手のリリアとくっつくつもりだろう。
私は、ベルゼにハメられたのだ。
愛するがゆえ、浮気も目を瞑っていた私に対する仕打ちがコレか…
しかし、その時にはもう私は隣国へ奴隷として売られることが決まっていた。
手枷をはめられ、馬車に揺られて、奴隷館に着くと、私はすぐに隣国の後宮の召使いとして働く事が決まった。
変な性癖の腐れ貴族のおもちゃにならなかっただけ良しとしよう。
そう思っていた。
次の日、また私は馬車に乗って、この国メイスの王都メイナスにある後宮に向かった。
後宮は立派で広大で、8つの宮殿が集まって出来ているのだ、と聞いた。
桜の後宮
薔薇の後宮
百合の後宮
梅の後宮
向日葵の後宮
金木犀の後宮
朝顔の後宮
紫陽花の後宮
上の桜の後宮が1番位が高く、紫陽花の後宮が1番位が低い。
私はもちろん、紫陽花の後宮だと言われた。
紫陽花が咲き乱れる後宮に入ると、私は自分が1番底辺の召使いである事も忘れ、紫、青の紫陽花を見ていた。
宮殿の中に通された私は、召使いの部屋へ連れて行かれた。
召使いは、上・中・下に分かれており、もちろん下の私は雑魚寝部屋で過ごすのだそう。
はぁ…
なんで私がこんな目に…
ベルゼのやつ!
いつか見てなさいよ!
そんな事を思いながら、雑魚寝部屋のクローゼットに少ない荷物を入れた。
召使い・下には、制服があり、白いエプロンと群青のワンピースだった。
私はトイレだと理由をつけて、召使いを管理する女官の許可を取り部屋を出た。
紫陽花の咲き乱れる庭に、もう一度だけ行ってみるためだ。
「綺麗…」
私は紫の紫陽花に笑いかける。
その時!
「おい!
そこの召使い!
ごほっ!
ごほっ!
その廊下に置いてある粉薬をもて!
ごほっごほっ!」
見目麗しい青年が苦しげにそう言った。
私は粉薬を渡した。
青年はそれを水筒の水で飲む。
「ん…?
いつもの粉薬と味が違う…
おい、誰か!
この娘をひっ捕らえよ!
俺に毒を盛りおったぞ!」
女官が一気に出てきて、私を捕らえた。
そして、私は後宮の牢屋に入れられた。
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