【完結】俺なりの恩返し…あれ？…もしかして、恩返しになってない？

はじまりは、こんな感じ

「っひっ…‼え…ちょっと、本当に…やめ…」

「まあまあ…ゆっくり部屋に入ってから説明しますって…」
そう言いながら、半ば強引に、ドアの隙間から半身を滑り込ませる。

「あっ…ほんとにっ！…こま…困りますっ！もう、けっ…警察呼び…、ん…む…むぐっ…ん…」

あまりにピーピーとドアの前で青野爽が喚くので、思わず口を手のひらで塞ぐ…

…これはまずいかな…と、頭では思ったものの、もう塞いじゃってるから仕方ない…。

「まあま…落ち着いて…悪いようにはしません。本当に、恩返しに来ただけなんで…」

「んんんんーっ…！！」

青野爽は顔を真っ赤にしながら手足をばたつかせて抵抗したけど、一回り以上も図体のでかい俺に、抵抗できるはずがない。

「すみません…でも、ほんと、恩返ししたいだけなんで…」

そう言いながら、無理矢理に玄関の中に滑り込み、後ろ手にドアを閉める。

玄関先で、顔面蒼白な表情で、震えながら俺を見上げてくる、青野爽…。

「あ…ビビらせてますか…俺、本当に恩返しに来ただけです…安心してください…。」

「…………」

無言の青野爽…

驚き過ぎて、声が出なくなったらしい…