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奏快のスマホが鳴った。発信者の名前を見ると奏快は電話に飛びついた。
「ホワイト教授!お久しぶりです」
「おお、ソウ、もう起きていたのか?」
「いえ徹夜で、仮眠していました」
「ははは、相変わらずだ」
ホワイト教授の笑い声を聞くと気が休まる。アメリカの大学時代の恩師ホワイト教授は奏快の憧れの人だ。
ノーベル賞候補ともいわれ、最近は新興製薬会社の役員になったと聞く。
奏快は見つけたばかりの薬のタネの話をし、教授は興味深く聞きながらアドバイスをくれた。
「ところでソウ、日本で変わったことはないか?」
「変わったこと? そうですね、変な感染症が流行っているんです。突然声がでなくなる。こんな病気は初めてです」
「ほう? 薬はあるのかね?」
「ライスター製薬ののどスターという市販薬がよく効くと言われています。でも、うちの妙快丸も効くようです」
「妙快丸?」
「うちの会社で作っている漢方薬です。時代遅れの喉の薬ですよ」
「それが、効くのか?」
「ええ、部門が違うのでよく知りませんが、急に売り上げが上がっているみたいです。それが、何か?」
「いやいや、アフリカの方でも妙な感染症が流行っていると聞いていてね、色々調査しなくてはいけないと考えていたんだ」
「教授も相変わらず研究熱心ですね」
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