1.水竜の夢

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 奏快のスマホが鳴った。発信者の名前を見ると奏快は電話に飛びついた。 「ホワイト教授!お久しぶりです」 「おお、ソウ、もう起きていたのか?」 「いえ徹夜で、仮眠していました」 「ははは、相変わらずだ」  ホワイト教授の笑い声を聞くと気が休まる。アメリカの大学時代の恩師ホワイト教授は奏快の憧れの人だ。  ノーベル賞候補ともいわれ、最近は新興製薬会社の役員になったと聞く。  奏快は見つけたばかりの薬のタネの話をし、教授は興味深く聞きながらアドバイスをくれた。 「ところでソウ、日本で変わったことはないか?」 「変わったこと? そうですね、変な感染症が流行っているんです。突然声がでなくなる。こんな病気は初めてです」 「ほう? 薬はあるのかね?」 「ライスター製薬ののどスターという市販薬がよく効くと言われています。でも、うちの妙快丸も効くようです」 「妙快丸?」 「うちの会社で作っている漢方薬です。時代遅れの喉の薬ですよ」 「それが、効くのか?」 「ええ、部門が違うのでよく知りませんが、急に売り上げが上がっているみたいです。それが、何か?」 「いやいや、アフリカの方でも妙な感染症が流行っていると聞いていてね、色々調査しなくてはいけないと考えていたんだ」 「教授も相変わらず研究熱心ですね」
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