2.無声病

2/2
前へ
/130ページ
次へ
「無声病が治る薬はのどスター一択でなくてはならん。その為にわざわざ開発した無声病のウィルスだぞ。膨大な利益が出ていたのに突然売り上げが止まった。まったく忌々しい。妙快製薬の社長を殺したい気分だな」 「殺したいとは穏やかじゃありませんね。どうせなら社長の息子を殺しては。有名人だから話題になります」 「有名人?」 「妙快製薬の御曹司は、イケメン研究員って騒がれてファッション雑誌を賑わせていますよ。女性ファンもいるとか」 「ふむ……どうせなら、Dウィルスを感染させるか」 「Dウィルス、なんですかそれ」 「毒性が無声病の十万倍のウィルスだ」 「それって、感染したら命が危ないとか?」 「ああ、場合によっては数時間で死に至る。だが、未だ人間では実験されていないから正確な所はわからない。だから、毒性を見る為に使ってみようかと」 「そのウィルスで妙快製薬の御曹司が死ねば。そうだ、何かデマを流して会社の信用を落としたうえで、御曹司が死ぬっていうのはどうですか。妙快製薬が密かに研究していた殺人ウィルスというストーリーなら、ネットがバズりそうですけれど」 「そうだな。Dウィルスについては追って指示する。まずは、デマを流せ」 「わかりました」  二人の人物の不穏な話し合いは、続いていた。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加