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これによりまったく身動きが取れなくなり今に至るのだ。
「……くそ、酷いなこりゃあ。まさかこんな時にアイアが来るとは。
まあ、お前らの仲間もさすがにこれじゃ動けないだろ。それに、この区画は酷い……お前だけなんじゃないか、生きてるのは。まあ、俺も同じってわけだが。
この天気じゃ空爆は少しあとか……ちょうどいい」
そう言って構えていた銃を壁に立てかけて、ゾフィーの近くに胡座をかくと自分の荷物を解き始める。まさかこんな頃にグリザイユと直接話す機会が生まれるとはと思いながら。
「……あたりには地雷も多いが、あれは全部お前らが仕掛けたのか?」
「…………」
「ああ、言葉がわからない?」
ゾフィはただジッと男を無表情で見続けていた。ジャンはナイフを取り出すと、器用にそこにあるもので刃を研ぎ始める。
「……なあ、そんな警戒すんな。俺は拷問する気なんてさらさらない。
どのみち今頃ラビエルを見つけたところで意味は無いんだ。全部無かったことにする段取りはもう組まれてる」
「…………」
「ああそうだ、小休止がてら一つ昔話でも聞かせてやろうか。
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