【 エピローグ: あふるる恋の遠く清くなつかしき 】

1/1
前へ
/17ページ
次へ

【 エピローグ: あふるる恋の遠く清くなつかしき 】

 ハンターに後から聞いた話だと、ガルルは時折、町に下りて行き、家畜や農産物を食い荒らしていたという……。  それが本当にガルルだったのか、今となっては分からない。  ただ言えるのは、彼女はもうこの世にはいないということ……。  ――ガルルが亡くなってから、もう10年の歳月が経っていた。  でも、僕はまだ彼女のことを愛している。  いや、今でも彼女と恋をしているんだ……。  君が例え、どんな姿であったとしても……。  僕は、一番初めに彼女と出会った、あの大きな木の根元に、彼女のお墓を立てた。  ガルルが大好きだった飴玉を胸ポケットから取り出し、そのお墓へ置く。  ガルルの眠るお墓には、こう刻まれている。 『あふるる恋の  遠く清く  なつかしき』  ガルル、きっといつか、君の元へ行くからね……。  あの時  僕は君と  一生分の恋をしたんだ……。 (了)
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加