28人が本棚に入れています
本棚に追加
【 エピローグ: あふるる恋の遠く清くなつかしき 】
ハンターに後から聞いた話だと、ガルルは時折、町に下りて行き、家畜や農産物を食い荒らしていたという……。
それが本当にガルルだったのか、今となっては分からない。
ただ言えるのは、彼女はもうこの世にはいないということ……。
――ガルルが亡くなってから、もう10年の歳月が経っていた。
でも、僕はまだ彼女のことを愛している。
いや、今でも彼女と恋をしているんだ……。
君が例え、どんな姿であったとしても……。
僕は、一番初めに彼女と出会った、あの大きな木の根元に、彼女のお墓を立てた。
ガルルが大好きだった飴玉を胸ポケットから取り出し、そのお墓へ置く。
ガルルの眠るお墓には、こう刻まれている。
『あふるる恋の
遠く清く
なつかしき』
ガルル、きっといつか、君の元へ行くからね……。
あの時
僕は君と
一生分の恋をしたんだ……。
(了)
最初のコメントを投稿しよう!