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むかしむかし、まだ一番速い乗り物が馬で、一番甘いデザートが果物だったころのお話。 遠い遠い国に、美しい王女さまがいらした。 ある日、馬子(まご)の青年がお城に呼ばれた。 王女さまの従医が、馬子に言った。 「姫さまは、ご病気なのだ」 従医は、馬子を王女さまの寝室に連れてきた。 王女さまの寝室に入るなんて、馬子のように身分の低いものにとっては、夢のようなことだった。 王女さまは、白い絹の敷布に寝ていらした。 絹の敷布と同じくらい真っ白な肌は、まるで真珠でできているかのようだった。 そして、三日月のように金色のお(ぐし)が、絹の敷布に広がっていた。
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