3. 変化

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                * ゴールデンウィークが明けて、気付けばクラスの人数は十人程増えていた。とは言っても、学校のクラスよりはまだ遥かに少ない。 その上、教室自体は学校より広いから増えたことを実感しにくい。 でも、やっと僕が座っている窓側の島にも人が座りだしたことには多少の嬉しさを感じていた。 今までボッチ感が否めなかったことと、先生がプリントを配る度に僕のところまで持ってきてくれていたのが申し訳なかったからだ。 ただ残念なこともある。 新たな受講生に遮られて、窓側の彼女が僕の視界に入らなくなったことだ。 一回の授業を終える毎に、また一つ、僕の嫌いだった単元が減っていく。人間とは随分と都合良くできている。 いや……人間というより、僕が都合良いだけかもしれない。
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