1. 帝進会

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重い足取りで家に帰ると、僕のテンションとは裏腹に、リビングから甲高い笑い声が聞こえてきた。間違いなく母だ。 「ただいま」 「あら、おかえり」 「パートは?」 「今日は昼までだったの」 「ふーん」 どうやらレンタルショップで借りてきたコメディ映画を観ているようだ。 サブスクという便利なサービスが浸透している昨今なのに、頑なに時代に適応しようとしない。 「沢山観れたら選ぶのに疲れる」という謎理論で、我が家には導入予定はない。 「あっ」 浩二との約束を思い出した僕は、母に事の経緯を話した。というか、ワンアクションすると忘れるこの脳はもう老化が始まっているのだろうか。
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