3. 変化

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ずっと、なんでこんな勉強をする必要があるのか分からなくて、いつの間にか勉強は嫌々やるものだと割り切っていた。 三角関数とか、微分積分とか、古文漢文とか……言い出すとキリが無いけど、とにかくどれも将来の役に立つとは思えないし、何でそんなもの必死に勉強しなきゃいけないのか謎だった。 いや、謎なことに変わりはないけれど、結局嫌じゃなければ理由なんて必要ないんだ。分からないから嫌いになって必要性云々と、いつの間にかやらない理由を考え始めていた。 面白ければそんなこと正味どうでも良い。 そう、気付いたら勉強は……少しずつ楽しいものに変わっていた。 それにしても、ゴールデンウィーク明けから先生達は本当に忙しそうだ。六月末から三者面談が始まるから、それに合わせてカウンセリングを済ませなければいけないらしい。 僕はもうとっくに終わったけど、窓際の彼女は授業後先生に呼ばれていた。恐らく彼女も一条先生の担当生徒になったのだろう。 浩二は……確か僕の知らない先生だったな。そう言えば、コンビニ店員さんを誘う作戦はその後どうなったのだろうか。次会った時にでも訊いてみよう。
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