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家に帰ると、父親も母親もいなかった。
無意識に少年は安堵の息を漏らす。
床へ無造作に買ったものを投げる。
コンビニの弁当。
温めるのが面倒だから、つけ麺を選んだ。
「あーさみぃ」
適当な場所で、
適当に弁当を開けて
そのまま食う。
テーブルなんてない。
生活感の欠けた部屋で
少年はそのまま住んでいた。
「まずくね」
ただ、飲み込むこと
それだけに意識を向けることにした。
両親とご飯を食べることはない。
そもそも、この家に両親は帰ってくるのではなく、
やってくるのだ。
忙しいとは言いながら
忙しいわけでは無いことを少年は知っていた。
両親は共に別の家庭を持っているのだ。
「何なんだよ、あのおっさん」
少年はバレないように
小さく鼻をすすった。
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