1人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「やあ、今日も並んでるね」
「あー……なんすか」
少年は一週間後
またあのラーメン屋に訪れていた。
暇つぶしの為に手に入れたスマホを
視界に入れたまま、彼の呼びかけに答える。
「この間は悪かったね。
なんか食べる気をなくしてしまったみたいで」
「んー、いえ、いいすよ」
「でも、突然どうしたんだ」
「えっと。あーその。俺、決めてるんすよ」
「決めてる?」
「この店のラーメンは
しみったれた気分で食わないって」
「なるほど」
「ほら、しょっぺーっしょ
ここのラーメン?」
「確かに、それは言えてるな」
彼はどこか大げさに笑う。
随分と溌剌とした男に見える。
元気ですね。
暇なんすか。
なんでまたラーメンなんすか。
どの言葉もしっくりこない。
最初のコメントを投稿しよう!