指先の温度

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 私の面倒なところだと分かっているのだけれど、客観的に見て相手が他の人からどう思われるかということまで考えてしまうのだ。  前の髪型のほうが良かったと大多数が思うであろうことなのに、本人だけが気付いていない。おおかた美容師にのせられてその気になったのだろう。美容師がチャレンジしてみたい髪型だったか、最先端すぎたかそんなところではないか。  何にせよ、似合っていないのは間違いない。そのうち見慣れて気にならなくなるとは思うが何だか気の毒だから気になるのだ。  かといって、本人は気に入っているのだろうから私が何かアドバイスするのは余計なお世話というものだ。  だから、私が自分の心を整理するためだけに加工修正してあげるのだ。切り過ぎた前髪を少し伸ばし、緑がかった髪色を戻す。さらに肌の色に合わせてピンク色を足す。  尖った印象が消え、元々持っていた柔らかい雰囲気が戻ってきた。これで十分なのだ。私の目にはこちらの方が魅力的に見える。
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