再挑戦

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再挑戦

(もう少し。あと少しだけ、()ってくれ。頼むよ……。)  しかし、僕の願いは(むな)しく(つい)えた。  そんなもんだ、世の中なんて。 (なら、後はこの方法しか……!!)  人差し指と親指に、集中力を傾ける。  微妙な力加減と、繊細な操作力が問われる手法だが、これで(はさ)み持って、何とかしのげたら……。  プル……プルプルプル……。  ペキッ! (駄目だ。芯が(・・)短すぎたんだ)  撃沈する僕の頭上に、太い声が降り注いだ。 「なんだ谷崎、もう全部回答し終えたのか?」  はうっ、先生っ! 「あの、シャーペンの芯が切れてしまって……」 (残った短い芯を指先で持って、字を書くのは無理でした。しくしくしく) 「そういう時は手をあげて言いなさい。というか、試験中の替え芯くらい、持ってなさい」  先生から貰った芯を、芯タンクに入れ、僕は残りの答案を埋めた。  叱られるかと思ってた。先生、優しいな。  けど、本当に、あと1問のことだったんだけどなぁ。        ― おわり ―
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