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プライドとは?
「母さん? 何してんの?」
母さんが、すんごい形相して何か頑張ってる。
「ぐ、ぐくく……。もう少しで。もう少しだけ、お腹凹ませたら、入学式の時のスーツが着れそうなの」
…………。
そーいや、もうすぐ卒業式だっけ?
数年前のスカート、ホック部分の左右を必死で引き寄せているけども。
「え、でもさ。ジャケットの腕周りが既にアウトなんじゃない?」
下が入ったところで、上は?
素朴な疑問が口をついた途端、コロニャで体重増加した母上様の目が、丸くなった。
しまった! 言い方間違えた?
「新しいの、買うわ」
母上様はあっさりと、スカートを諦めた。
「そもそも入学式の明るいスーツカラーって、卒業式には軽すぎるわよね」
「そ、うなんだ?」
これ以上は、追及してはならない。
母さんのスーツ、ダーク系じゃん、なんて言ってはいけないのだ。
僕は何も見てないし、聞いてない。
お茶とお菓子を片手に、僕は部屋へと戻った。
― おわり ―
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