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「ふむ、お口に合いませぬかな?」
「いや、まるっきり合わないとは言いませんが、どうも、わたしたちはナルボン星の人たちとは、味の好みが異なるようでして……」
遠まわしに言っているが、要するに「マズい」ということである。
本来の彼はそんな感想などおくびにも出さないのだが、これには少しわけがある。こういうことだ。
彼らは、ナルボン星との通商交渉のためにやってきた。地球とナルボン星との間には、通商契約が結ばれている。その契約が三年ごとに切れるため、更新の手続きを行うのである。
ナルボン星は地球からすると、ずいぶんと辺境にある。通常でもワープ航法を使って三週間の道のりである。それが今回は、途中の宇宙空間で磁気の乱れがあり、二週間よけいにかかってしまった。彼らは非常用に積んでいたマズい食料にまで手をつけなければならなかった。そのため彼らは、宇宙食でない、おいしい食事にひどく飢えていたのだ。
おまけに、前回契約を更新に行った者たちから、
――ナルボン星の肉料理はすこぶるうまいぞ。
と聞いていた。
彼らの期待はいやがうえにも高まっていたのである。
なのに、実際にこうして食してみると、ほめ言葉をさがすのに苦労するような料理でしかない。期待は完全に裏切られた。がっかりしたのも無理はないのである。
「なるほど……」
司祭はしばしのあいだ目を閉じた。地球人たちの落胆を受けとめているかのようだ。
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