君は花より朧にて

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おじさんの陰茎は、硬く、勃ちあがっていたからだ。ゆさ、ゆさ……と中尾が下から腰を揺らすたびに段々彼の吐息が荒くなる。中尾を睨みつけていたはずの目が、潤んでくる。 こんなおじさんを見たのは初めてだった。 抗ってはいるのだ。 自分の本能に、理性が抗おうとしている。 男に犯されて喜ぶ自分を、認めたくない。が、中尾は必死に耐えようとしているおじさんの頬にキスをして、こう言った。 「可愛い……」 「なにを、言いやがる」 「安藤さん……言いましたよね?俺が女になったらお前が責任とって嫁にしろって。いいですよ。俺、あんた嫁にして幸せにするから……。今だって、あんたの為にしてるんですよ。いわば、これって必要なことじゃないですか。オメガの発情期、これからも来るんですよ?毎回毎回我慢します?それより俺に抱かれて気持ちよく克服した方が良くないですか?もちろん、あんたが望むなら、避妊薬だってもらってきてやる。あんたが嫌がること……したくないから……。俺、安藤さんのこと、めっちゃ好き……すごい……好きだから……」 「中尾」 「今だけでいいんで。祐介って呼んでくれよ、ノゾム」 「俺は……こんなこと……」 「じゃあ、抜きますか」 「んっ……」 まだ抵抗を続けようとする彼の態度にわざとそっけなく、中尾が言った時だった。 はじめて、おじさんが反射的に首を横に振った。 横に振ってから、はっ、と中尾を見た。 中尾はにや、と笑って「やば」と呟きおじさんの肩をがしりと抱いて、言ったのだ。 「めっちゃ、エロいすね安藤さん」 「おい、中尾」 「俺、決めましたよ。めっちゃ犯すわ。犯して、犯しまくってあんた……俺の女になるっていうまで、毎日犯すから。やっぱ女の自覚ないからつらいんですよ。だから、自分がどんな体になったか解らせてやるよ……」 「やめ、ろ。ふざけんじゃねえ!おい、圭太!大丈夫か、あいつに何かされたのか!」 「あ、その台詞めっちゃウケる。圭太がふらふらなのは、あんたのせいじゃないですか」 「なに」 「気づいてないかもしれないですけど。あんた、フェロモン出しまくってんですよ。しかも濃いやつ。こういうの嗅いだことない奴には耐えられないくらいのメスの匂いさせて、あんたは男をおびき寄せてるんですよ。そんな匂いで街、歩くのマジで犯罪っすよ。知らない奴に種付けされても、多分安藤さんが悪いって言われますからね?ほんと、淫乱ですよねえ……男欲しくて、たまんないって体が言ってるんですよ」 「止せ、言うな」 「いい加減素直になりましょうよ。俺、こんなひどい事言ってるけど、一途なんで。俺はずっとあんたしか見えてないですよ。女になったあんたも、男らしいあんたも、みんな好きだから。手に入れたいから。こうなって、まじで幸せなんですよ……」 そう言うなり中尾は自分の上に乗っていたおじさんをベッドに押し倒し、彼の体をシーツに押し付けるようにして力強く犯し始めた。緩やかなペースだった腰つきは、荒々しく変化して、激しく抜き差しして犯していく。突然の事におじさんは一瞬びくん、と強張ったが。意識を取り戻したことでダイレクトに快感が脳に直結してしまったのだろう。 もう、声を止める事はできなかった。 「ああああ!あーっ、あっ、やめろっやめで……っ、おくっ、おぐううう!んーーっ!んううううーーっ!」 「やっべ、白目剥きそうじゃないですか!たまんねー、もっと、おかしくなれ!」 「いやだっ、いやだっ、おかしぐなるううう、なかお、たのむ、もっとやさし……いっくうううううーーーー!」 「いけっ、いけっ、のぞむ、ちんぽ狂いになれっ!」 「ちんぽやだ、ちんぽやだあああーーあーっ、いくいくいくうううう!」 「ノゾムッ!ノゾムッ!早くおかしくなってくれよおおお!頭空っぽになって、俺の女になってくれーー!」 もっと優しくしてくれ。そう言えばいう程、中尾は激しく彼を犯した。 気絶しても彼を犯し、彼が泣いても彼を犯した。 いつのまにか私は自分の陰茎を取り出して、おじさんの痴態を見ながら扱いていた。 私は、こんなことは間違っている。そう思いながらも、痺れるようなおじさんの匂いに負けてしまったのだ。 おじさんも、わたしも、泣いていた。 でも、おじさんの涙は、途中から歓喜の涙に変わってしまったのだ。 激しい行為の後、言葉を発することもできなくなるまでに憔悴しきったおじさんを引き寄せ、彼の股を開き、嬉しそうに私の名を呼んだ。 「おい圭太、見てみろよ。俺のザーメン……、溢れて穴から出てきてる。一杯入れたからなあ……。シーツも俺の精液とノゾムの汁でどろっ、どろ。まじでエロいわー。あーこれで孕まねえかなあ。項噛んだ方が妊娠しやすいって聞くけど、俺……無理強いはしたくねえからさ。この人が俺に首を噛んでくれって頼むまで、頑張るよ」 「……頑張る?」 「決まってんだろ?めっちゃセックスするってことだよ。ああ、そうそう今日から俺も、この家に住むから」 よろしくな。そう言って中尾は私にふてぶてしく笑いかけた。
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