私の推しは競走馬

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 大学の帰り、スマートフォンの充電がなくなりそうになって急遽コンビニで充電器を買うことにした。行く前にちゃんと確認すればよかったな。えっと、充電器があるのは……あれ? 雑誌のコーナーに見覚えのある顔が。私が手に取った雑誌は競馬専門の雑誌だった。表紙にはシップウヤシャの写真が大きく飾られている。この間、天皇賞春勝ったもんね。おめでとう。ヤシャ。特集載っているみたいだし買っていこうかな。私は競馬の雑誌を一冊取ってレジに向かう。ああ、家に帰って読むのが楽しみだ。私はお会計を済ませて急いで帰路についた。 結局、充電器の買い忘れに気づいたのは電車の中。普段ならイライラするはずなのに、今日は不思議とそうはならなかった。きっとヤシャのおかげだ。  家に帰ってからは部屋で雑誌を堪能した。天皇賞春のときのヤシャのかっこいい写真。ヤシャの調教師や騎手のインタビュー。誰もがヤシャに期待を寄せている。 「すごいな。ヤシャ」  私は思わずページをめくりながらそうつぶやいた。ヤシャは陣営や観客の期待を乗せていつもレースに臨んでいるんだ。あなたは本当にすごいよ。ますます応援したくなっちゃう。 「そういえば、次走ってもう決まっているのかな」  手元のスマホで確認したが、次走についての記事はなかった。さすがにまだ気が早かったか。代わりに天皇賞春の後のヤシャの様子についての記事を見ることにした。よかった。元気そうで。へぇー、厩務員さんがSNSで写真を……ってええ!? 厩務員さんSNSやってるの!? これはチェックしなければ! 厩務員は馬の世話をする人。つまり、普段のヤシャを一番よくみている人だ。一体どんな投稿があるんだ。 厩務員さんのアカウントにさっそく飛ぶと、ヤシャと厩務員さんの写真が載っていた。ヤシャは厩務員さんにぴったり寄り添っている。かわいい! 普段のヤシャって意外に甘えん坊なのかな。他にも馬房の掃除中にヤシャにちょっかいをかけられたこと。ご飯をもりもり食べるヤシャの写真。ヤシャとの何気ない日々が記されていた。厩務員さんがヤシャをどれほど大切にしているか伝わってくる。それにヤシャも厩務員さんに懐いているのがわかる。疲れが癒えた。これからも厩務員さんのSNSチェックしよ。
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