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 『雄大へ。  私は、貴方と血のつながった姉ではありません。  私と雄大は、両親が違います。  私の本当の両親は、もうこの世にはいません。私が2歳の時に事故で亡くなりました。一人になった私を、娘として育ててくれたのは、私の両親の親友だった、雄大のお父さんとお母さんです。  私がこの事実を知ったのは、中学の時ですが、それは偶然で、本当は私が社会人になってから話そうと決めていたそうです。だから、雄大が知る事になるのも、本当だったらもっと後の事でした。  私達がもっと大人になって、もっと世界が広がった時に聞く話でした。  でも、ごめんなさい。  私はそれまで待てませんでした。  私は、自分に血のつながりが無いと知った時から、大好きな家族を失う事が怖かった。なのに、また雄大の両親まで失ってしまった。  私は、自分が疫病神に思えて仕方が無いのです。  このまま、雄大と一緒に居たら、雄大まで殺してしまうんじゃないかと怯えています。  だから、貴方の側から消えます。  「ずっと側に居る。」って言ったのに、嘘ついてごめんね。  でも、ずっと側に居たいと思っていたのは、本当です。  ずっと、雄大の側に居たかったけど、貴方を殺してしまう私ではダメでしょ。  だから、貴方から見えないところで、貴方の幸せを願う事にしました。  私の最大の我儘を許してください。  今まで、雄大の我儘はたくさん聞いてあげたでしょ。  だから、お願い。  いつか、皺くちゃになった貴方に会いに行きます。  それまで、どうか、生きてください。  もう会わないから、もう一つの秘密も告白します。  私は、血が繋がって無いと知ってから、貴方の事が好きでした。    悠里。』
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