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春樹はだらだらと昨日の顛末を斉藤を相手に愚痴っていた。当の石和本人は自分の机に突っ伏して眠っている。距離があるし教室はうるさいから、春樹たちの話し声までは聞こえないはずだ。
「まぁ背高いしな。なんで辞めたの?」
「知らねぇ」
携帯をいじりながら斉藤は言う。斉藤はネット上のことに異様に詳しくて、やたらと学内の生徒のツイッターアカウントだの何だのを知っている。なぜだか教師の、愚痴満載の個人的なアカウントまで知っているので恐ろしい。
「中学はどっか西の方らしいし、引っ越してやめたのかも」
「あいつのアカウントとかない?」
「ねぇな、見たところ」
「ちぇー」
「ていうか春樹がそこまで気にするって珍しいな」
「そう?」
「お前、ミナちゃんのアカウント知りたい?」
「え? あんの?」
「聞いてきたこともないもんな」
斉藤はスマートフォンをいじり、ツイッターの画面を表示させる。目の辺りを隠した、誰だかよくわからない女の子のアイコンと、パンケーキの写真が表示されている。ずっと来たかったカフェに来ました!!みたいなテンションの高い文章だった。
「……マジ?」
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