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オレの仕事はここまでだ。帰るぞ
「何か手伝いますか?」
荷物を整理していると、声をかけてくれたのは金目のクリサ。
「いや、もう終わるから大丈夫だ。それよりオレの荷物の中で欲しいやつあるか? オレはもう戦わないわけだしな」
「あんなの……絶対おかしいです」
震えた声でクリサが言う。
「いや、おかしくはない。というかこのパーティ、マリアとアンネロッテだけで勝てるだろ。他は全部おまけだ。各国のメンツのためだけに集められた連中に過ぎない。
その中で最弱はオレなんだから、オレが抜けたところで特に問題はない。
ここよりも国に帰ってやることの方が多いしな。むしろマリアはそのことを考えてオレを外したんだろ」
でも、でも、と言う金目のクリサの肩を叩いて、いいんだ。と呟く。
何も言わないでくれ。
「自己強化用の薬をいくつか渡しておいてやろう。あと回復薬も。もうオレには必要ないからな」
彼女は礼と共に受け取ってくれた。パーティの中で、最もオレを信頼していた金目のクリサ。彼女の背中は幾度か守ったことがある。正面からなら無敵の彼女も背後からの不意打ちは躱せないらしい。
「祝賀会に戻っていてくれ。オレは大丈夫だから」
「それでは、失礼します……」
金目のクリサは祝賀会へ戻っていった。
オレにはやることがある。
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