オレの仕事はここまでだ。帰るぞ

1/3
117人が本棚に入れています
本棚に追加
/358ページ

オレの仕事はここまでだ。帰るぞ

「何か手伝いますか?」  荷物を整理していると、声をかけてくれたのは金目のクリサ。 「いや、もう終わるから大丈夫だ。それよりオレの荷物の中で欲しいやつあるか? オレはもう戦わないわけだしな」 「あんなの……絶対おかしいです」  震えた声でクリサが言う。 「いや、おかしくはない。というかこのパーティ、マリアとアンネロッテだけで勝てるだろ。他は全部おまけだ。各国のメンツのためだけに集められた連中に過ぎない。  その中で最弱はオレなんだから、オレが抜けたところで特に問題はない。  ここよりも国に帰ってやることの方が多いしな。むしろマリアはそのことを考えてオレを外したんだろ」  でも、でも、と言う金目のクリサの肩を叩いて、いいんだ。と呟く。  何も言わないでくれ。 「自己強化用の薬をいくつか渡しておいてやろう。あと回復薬も。もうオレには必要ないからな」  彼女は礼と共に受け取ってくれた。パーティの中で、最もオレを信頼していた金目のクリサ。彼女の背中は幾度か守ったことがある。正面からなら無敵の彼女も背後からの不意打ちは躱せないらしい。 「祝賀会に戻っていてくれ。オレは大丈夫だから」 「それでは、失礼します……」  金目のクリサは祝賀会へ戻っていった。  オレにはやることがある。
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!