走り出す〜かんだがわ〜

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 一家…。って言うか、母親と健太郎さんはまだ入籍してないらしいですけどね。  熊谷健太郎19歳、龍之介の母親の若いツバメさんです。兄貴の、元同級生…。つまりおれにとっても同じ学校の生徒だったのですが、全く記憶にありません。当時は、兄貴の友達ではなかったし。今でこそ、名前どおり熊のような図体をしていますが…。昔は、兄貴とそう変わらないくらいの身長だったとか。  「龍之介くん、こんばんは。そちらの方でも、断水だったんですね。お母様と健太郎くんも、お久しぶりです。運動会以来ですね。今日は、お仕事はお休みですか?」  「仕事はあったけど、珍しく夕方までのシフトでね〜。こうやって、一家揃って来れたわけなの。それじゃ、私は女湯に行くから。たつみ君、龍之介が周りの方に迷惑かけないようお願いね〜」  母親の名前は、武市華さん。そのうち、熊谷姓になるのかな?いかにも薄幸そうな見た目をしており、髪型も俗に言う死にそうな母親のソレです。実際には、あと60年ほど健在そうですが。  某有名コールセンターのSVらしく、普段はおっとりした顔でフワッフワした受け答えをしています。声も、あたかも島本須美さんが当てているかのように上品そのもの。ただし元湘南レディースの総長らしく、怒らせると手がつけられないとか…。  実際、あの龍之介もこの母親には頭が上がらないようです。「子供扱いすんなよな」とか小声で言いつつも、はっきり言い返す度胸は無いようですね。
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