走り出す〜かんだがわ〜

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 「これまた話変わるんだけど、オニーサン最近めっちゃ隠すようになってない?今日も、湯船に浸かるまで完全ガードだったし。いや、オレ2学期に会ったばかりだからプール授業とかは知らないんだけどね」  「それな!おれも、こないだ箱根の温泉行った時思った。理由聞いても、はっきり答えねーしさ。やはり、翠山か…?一時期落ち着いてたけど、最近また物思いにふけってる事が多いんだよな。こないだの、祝日デートあたりから。やはり恋か?恋煩いなのか…」  「乙女だよな、最近まるで。ここは、何とかしねーとトンビに油揚げさらわれるぜ。よし、ここはいがみ合ってる場合じゃねえ。打倒・翠山さんだ」  「お、おう!兄貴の、愛をとりもどせ!だな。へへっ、よろしくな。龍之介…」  そう言って、龍之介の顔を見た。あれ、龍之介ってこんな可愛かったっけ…。いや、前々からカッコ可愛いお子様だなと思ってはいたが。今日は何だかやけに素直なのと、サウナに入って顔が紅潮しているので…。ヤバい、何か箱根の温泉とは違った意味で変な気持ちになってきた。  「龍之介…」  「みなと、さん…?」  そう言って、首をかしげる龍之介の頬に手を当てた。何だか、本当にとてつもなく愛しく感じる。察したのか、龍之介も目を閉じた。おれは、そのまま龍之介の唇に唇を…。  「やっほー、みな君!リフォームの話がうまくまとまったから、お兄ちゃんもサウナに来ちゃっ…た…?」
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