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 だいぶ光が強くなったあたりで僕は木の幹に身を隠しながら進んだ。木から木へと素早く移りながら僕は光の中心へと近づいた。 「あっ!」  と声を出しそうになった瞬間、僕は両手で口を塞いだ。  少し開けたその場所には、光の球体があった。半径何メートルだろうか、二階建ての家ぐらいはあるだろうか。この星の上に存在するとは思えない物体がそこにはあった。  球体の一部からドアのようなものが現れ、一瞬で開いた。そこから何かが出てきた。褐色の肌をした真っ黒な目を持つ人のカタチをしたそれを識別するための言葉を僕は一つだけ知っていた。  宇宙人。  僕は息を潜めながら、見てはいけないものを見てしまったと思いながら、それから目を離すことができなかった。 *  宇宙船、らしき光の球体からは褐色の宇宙人が二体でてきた。宙に浮いたかと思うと重力加速度を無視するかのように、枯れ葉が落ちるようなゆっくりとしたスピードで二体は地面に降り立った。  なんだ、あれは。心臓の鼓動が早くなって、毛穴という毛穴から汗が噴き出るような感覚があった。 『xxxxxx』  聞き取ることのない声を発したかと思うと二体のシルエットがぼんやりと光り始め、何やら形を変え始めた。両手両足が伸び始めたかと思うと、宇宙人は「ある者」に変身してしまった。  ついさっきまで異形の存在だった宇宙人は、まるでその辺を歩いている人間のようになってしまった。こんなことが出来る存在が普通であるはずはない。僕の歯はがたがたと震え、全身から汗が噴き出るような感覚に陥り、僅かに残る思考回路が「逃げろ!」と頭の中で叫んだ。  光を背にして、できるだけ速く、できるだけ静かに、木から木へと自分の身を隠しながら僕は走った。森を抜けると、止めてあった自転車に乗り、下り坂をブレーキをほとんど使わずに降りた。  町の中に戻ってからも恐ろしさのあまり、振り返ることができず全速力で自転車を漕ぎながら僕は、いつもなら寄るコンビニに目もくれず家へと一目散に向かった。  
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