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遠くに希里亜の姿が見えた。
希里亜は私達に気付きもせず、ただ真っ直ぐにどこかへ向かっている。
「えぇ、希里亜は毎日、学校が終わるとここに来て、私の仕事が終わるのを待ってくれるんです」
希里亜の背中にランドセルはないが、その腕にはウサギのヌイグルミがしっかりと抱かれている。
おそらく一度家に帰ってから、ここに来ているのだろう。
「あそこは確か……」
「ウサギです。いつもああしてウサギの相手をしてるんですよ」
「よほどウサギが好きなんですね」
希里亜は、ウサギ小屋の前でしゃがみ、ジッと中の様子を見ている。
「こんにちは、希里亜ちゃん。ウサギは可愛いかい?」
「あ、小塚のおじさん!」
希里亜はしゃがんだまま、驚いたように私を見上げてきた。
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