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第14話
矢吹の家に行くと、部屋の中は質素だが、きちんと整理整頓されていた。
ただ一つだけ違和感があるとしたら、希里亜はまだ小学一年生だというのに、ウサギのヌイグルミ以外、おもちゃや人形といったものがまったくないことだ。
だが、矢吹一人の収入では、そんな余裕もないのかもしれない。
小学生らしいものといえば、壁に貼られた数枚のウサギの絵だけだったが、とても小学生とは思えない出来栄えだった。
「希里亜ちゃんは、本当にウサギが好きなんだね」
「うん、カワイイもん」
希里亜は私を見上げると、ただ一点をジッと見つめていた。
その視線の先は、私の左手だった。
「食事にしましょうか」
「ご馳走になります」
矢吹は正面に、希里亜は私の隣に座り、美味しそうなカレーを目の前に、私達は「いただきます」と声を揃えた。
しかし、その直後、希里亜は突然、スプーンをテーブルに叩きつけた。
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