第16話

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「でも、お友達がいっぱい来るのでは、逆にお邪魔じゃないですか?」 「いいえ、あの子に友達はまだ一人もいないんです。それだけが心配で……。だから明後日は私と希里亜の二人だけなので、お気になさらないでください」  確かに、友達がいたら毎日のように学校が終わってから、ここに来ることもない。  それに、いつだったか希里亜は、友達がいっぱいできたと言っていたが、あれは単なる見栄だったのか。  私に見栄を張ったところで、なんのメリットもなさそうだが、子供心にも友達が一人もいない、というのはどこか気恥ずかしかったのだろう。 「そういうことなら、喜んで。十八時半には仕事が終わると思うので、帰り次第お邪魔します」 「ありがとうございます! うんとご馳走を作って待ってますね」 「楽しみにしてます。あ、ケーキは私が用意しますね」  矢吹は嬉しそうに笑っていた。  しかし、その日は……妻の命日だった。
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