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第21話
希里亜は、妻の生まれ変わりだというのか?
これまでの希里亜の言動を振り返ると、そうとしか思えなかった。
いや、それだけではない。
希里亜の顔は、どこか妻の面影を感じさせるほど、よく似ている。
しかし、だからといって、そんなことが実際にあり得るのだろうか?
身に覚えのない妊娠で、妻の命日に産まれた希里亜。
その何もかもは妻の……都和が引き起こしたものだというのか?
矢吹が死んだのは……私のせい、なのか?
希里亜は、包丁を手にしながら一歩、また一歩と、ゆっくり私に近付いてくる。
思考は今も追い付いていないが、今は希里亜が手にしているものをどうにかしなくてはいけない。
あの時とは……違う。
今、目の前にいるのは、あの時の妻ではなく、小さな子供だ。
多少怪我をしたとしても、それを取り上げるのは簡単なはずだ。
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