32人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
これまで私は、妻が抱えていたものにも気付けず、その妻を殺してしまったという罪悪感に悩まされていたが、そこにはしかたがなかったという自分の行為を肯定する思いもあった。
そして、この先は一生誰も好きになったりしない。
そう誓ったはずなのに、それも破ってしまった。
今になって私は、ようやく自分の犯した罪をすべて認めることができた。
だが、何もかもが遅過ぎた。
「都和、本当に……すまなかった」
私は立ち上がることもできず、深く頭を下げて心の底から都和に詫びた。
私は、これから希里亜となって生まれ変わった都和に殺されるだろう。
そのあと、おそらく都和もこの私を追って……。
未練など、もう何もない。
これは、私が受けるべき断罪なのだから。
涙がにじむ目をゆっくり閉じると、私は覚悟を決めた。
最初のコメントを投稿しよう!