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第6話
仕事から帰宅してバスを降りると、ウサギのヌイグルミを大事そうに抱えている希里亜と母親の矢吹と出くわした。
「こんばんは」
「あ、小塚のおじさん! こんばんは」
「希里亜ちゃん、今日も元気いっぱいだね」
小走りで私の元に駆け寄ってきた希里亜の頭を軽く撫でてやる。
希里亜は、私によく懐いてくれていた。
明るく、可愛げのある小さな顔で、こうも懐いてくれると私としても悪い気はしない。
もし、私にも子供がいたら、ちょうど希里亜くらいの年頃だろう。
私達の様子を微笑ましそうに見ていた矢吹は、バッグから取り出したものを私へよこしてきた。
「あの、よろしければ今度、来てみませんか?」
手渡されたのは「こども動物園」の優待券だった。
矢吹は、そのこども動物園で清掃員をしているらしい。
この近くに動物園があるのは知っていたが、私は一度も行ったことがない。
動物は好きなほうだが、一人で行く気にもなれなかったからだ。
「ありがとうございます。今度、行ってみます」
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