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無傷とは言わずとも、生死の境を彷徨う可能性は限りなく低かっただろう。カエルが使える謎の回復魔法``蘇・生``なら腹をブチ抜かれた程度、簡単に治癒してしまえるはずだから。
「で、でもよ。それでもコイツらにはコイツらなりの……」
それでも俺の考えは変わらない。ルールについては理解できても、そのルールはモモヨたちの事情を全く汲みとってはくれないものだ。何もなかったなら、そのルールに従うことに異論なんてないけど、今回はモモヨたちにやむおえない事情があった。それを汲みとれるのはルールじゃない。人間の俺たちのはずだ。
「だったらオレらとみなみでれんごーくめばよかったんだ」
俺の思いも虚しく、ポンチョ女には全く届く様子がない。それどころか暗澹とした瞳に宿る闇で俺を蝕みながら、反論をどんどんヒートアップさせていく。
「みなみのうけおいかんとあーしらのうけおいかんにたのんで``しぶれんごーたいせー``をくむよーにせーきのてつづきふんでりゃあ、レクだってことわりゃあしなかっただろうよ。でもじっさいはかってにあーしらのしぶのせんりょくつかっちまったんだろ? だったらルールいはんいげーのなにもんでもねーんだよ」
「はぁ? お前さ、猫耳パーカーの話聞いてなかったのか? 要はその手続きとやらを踏む余裕がなかったってっこったろうが」
「よゆーがなかったのはウチだって、どこのしぶだっておなじだろ。よゆーがねーからって、よそのしぶのだいひょーが、てめーがってなはんだんで、よそのしぶのせんりょくをかってにつかっていーわけがねーだろーが。だから``きんきゅーじしょぞくしぶぼーえーのぎむ``と``しぶれんごーたいせー``ってのがあんだよ、わかったらいーかげんきかんそくよんでこいぺーぺーのしんざんクン」
いつもなら金髪野郎が仲裁に入るはずなのに、なぜだか今回ダンマリを決め込んでいた。御玲も特に反論する様子もない。
ものすごく言い方が癪に障るし、なんなら煽られてすらいるが、悔しいことに俺も反論することが表立って思いつかなかった。
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