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「神託が下ったのじゃ! 責務は必ず果たす! じゃから……」
「ならぬ!! 放っておけばいつまでものらりくらりと放蕩しおって、この親不孝者めが!! 栄えある母君より授かりしその任、いま果たさねば花筏の名折れぞ!!」
「放蕩とは失敬な!! わっちは巫女ぞ? 偉大なる独神様より授かりし説法を民草に伝え、民草の平和を守ることこそが、花筏の真なる務め!! 神託が下ったならば尚更ぞ!!」
「黙れぃ!! 神託、並びに独神様を冒涜する気など皆無じゃが、目の前の責務を果たせぬ者が、神の声を代弁するなど烏滸がましい!! その心根、この笹舟造次が叩き直してくれる!!」
笹舟造次と名乗ったその老木は、漆黒の道着を着こなすだけでは飽き足らず、全身から滲み出していた常闇のオーラを全力開放する。
それはもはや、漆黒の覇気。
「ぬぅ……やはり爺に口は効かぬか……なればこそ」
少女もまた、身体を白く淡い光の覇気で身を包む。
造次が放つ漆黒の覇気と同等の覇気。暴虐の嵐を己の意志で完全に統制してみせたそれを、己の血肉のように着てみせる。
「押し通る!!」
漆黒と淡白。色と濃淡こそ違えど、同じ密度、同じ力量の覇気が武家屋敷の縁側で衝突する。そしてそれらは、熾烈な物理現象となって現実となる。
障子を粉砕し、壁を焦がし、縁側の床を砂塵へ。何者も寄せつけない覇気の濁流の中で繰り広げられる両者の猛烈な攻防は、もはや災害に等しい。
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