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その根本とはまさしく力、そしてその力に根づく技。両者とも、真正面から受け止めてしまえば容易くその身を砕く一撃を、紙一重で躱し合って命を繋いでいた。
厳密には躱し合っているというよりも、受け流し合っているという表現が正しいであろう。
両者の攻防は、すでに常人の視力では見切れない速度に達している。拳が受け流される度、空気が炸裂する爆音が響き渡り、その勢いで壁が、床が、土壌がへしゃげる。
武家屋敷として格式のあった美麗な縁側は、すでに見る影もない。一撃破壊の応酬に、もはやその美しさはそこになかった。
拳を交わし合うこと、およそ二十秒。造次と名乗った老木は、突如攻め手を変える。今まで打ち込み、受け流しを繰り返していた両者だが、少女が打ち込んできたのを見計らい、その腕を鷲掴んだのだ。
両者相反する覇気を纏っているせいか、触れた瞬間に覇気による猛烈な反応が炸裂する。黒と白、相反する色彩の落雷が、両者と目の鼻の先で爆発したのだ。
「いっぽおおおおおおおおおおん!!」
渾身の背負い投げ。少女の打ち込みと踏み込みの勢いをそのままに、覇気の衝突で生じたエネルギーを組み合わせ、一気に畳みかける造次。
無論、まともにくらえば人間など肉片すら残らない。造次よりも背が低くか弱そうな、華奢な少女ならば尚更だ。
「な……!! ぐぅお!?」
その少女が文字通り``華奢な少女``であったなら、の話だが。
造次と名乗った老木は目を見開かせて呻くが、次の瞬間に何故か彼の方が床に沈んでいた。それはもはや、常人の認識能力をはるかに超越した、一瞬の出来事であった。
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