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夏木
「そろそろ行くかな…」
「 …はい 」
温かくて落ち着く彼の腕まくら…
彼の言葉の後に…
無情にも私の首の下からあっさり…するりと抜ける、逞しい腕
シャツをサラリと羽織る彼の後ろ姿
広い背中…
ネクタイを締める少し骨ばった手… 長い指
身支度を整え、彼が私をゆっくりと振り返る。
「じゃあ、また連絡するよ…おやすみ。」
「はい…また …おやすみなさい…」
パタンと閉まるドア
もう…
もう、少しだけ…
あなたと一緒に居たい…
なんて、言えるはずがない…
彼には帰るべき場所がある。
重たい女にだけは、絶対になりたくない。
私は明るくて、ドライな女なのだから。
私は横になったまま眼を閉じる。
私に覆いかぶさる彼の胸板…
熱い吐息と、低いうめき…
私を抱きながら耳元で囁く甘い声…
好き…
また早く、あなたに会いたい。
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