砂漠でスーパーカー

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砂漠でスーパーカー

 どれくらい走ったのだろうか。 何回日が沈んで、また登ってきたのか分からない。太陽は、頭上高くからスーパーカーを真っ赤に染め上げている。  どれくらいのスピードが出ているのだろう。 時速200kmはゆうに超えている。タイヤは砂を巻き上げ、排気ガスと混じって、ひこうき雲のように尾を引いている。  私は今、砂漠にいる。 砂漠でスーパーカーを走らせている。 何でこんな所にいるのか、どこに向かっているのか。そんなことは全く分からない。 気づいたらこうなっていたのだ。考えたって無駄だ。 周りは砂だけ、逃げ場なんてどこにもない。  太陽の日差しは強いが、車内はそこそこ快適な温度が保たれている。 助手席には水のペットボトルとエネルギーバーが数本。誰が用意したのか知らないが、これが私のライフラインである。 スピードメーターは、狂ったようにグルグルと回っている。 ハンドルとブレーキはきかない。そもそも障害物がないので必要がない。 私はこのままこの方向へ、スーパーカーに乗って走ればいいのだ。というか、それ以外にすることがない。 右足へ力を込めることに意識を集中させる。アクセルを離したら、私の方が狂ってしまう。 この異常な世界で、今、私だけが正常である。      
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