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えーと、涼石芽衣です。
この物語の主人公、涼石夏生こと、なっちゃんの姉です。
今回はちょっと、なっちゃんが最近忙しいそうなので、私が代わりに語ってみようと思います。だけど、正直話すの苦手です。面白くないかも知れません。でも頑張ってみようと思います。
えーと、なっちゃんが1年の頃の話なので、私はあの頃4年生でした。
それでは……
これは、あの頃を思い出しての話。
ちょっと?結構?昔の話。
: : :
11月、うちらの小学校には「スーパー焼きイモ大作戦!!」という恒例行事がありました。
これは、小学生全員で地域の落ち葉を集めて、校庭の真ん中で、でっかい焚き火をするというもの。そしてそのタイトルの通り、その焚き火で焼き芋を作るのです。地域の人の協力もあって、焼き芋の他に豚汁とジュースも出ます。だからみんな楽しみにしていて、ちょっとしたお祭りのような楽しい行事なのです。
1、2年生の頃は、訳もわからず落ち葉を集め、豚汁と焼き芋食べて、校庭で自由に遊んでいたけど、4年生になった今年は、うちらにもやる事ができました。焚き火や焼き芋、豚汁なんかはやっぱり危ないから、地域の大人や5、6年生の仕事やったけど、うちら4年生は、1、2年生の子守、というか低学年用のレクレーションを考えます。
今年はいくつかあって、マルバツクイズ班、ドッチボール班、塗り絵大会班。そして私はマルバツクイズ班でクイズを作る事になりました。本当は室内でやる塗り絵大会班が良かったのになー。誰かが「弟の夏生君、1年生やろ」なんて言うから……
私は1、2年生レベルの問題考えやすいやろっていうのが理由でマルバツクイズ班にされました。……クソッ! なっちゃんのせいで!!
まあ、クイズ考えるのはええとして、なっちゃん基準にすんのはどないなんでしょう?
あいつは、お調子もんで、パッパラパーや。あほやし、恥ずかしい。この前の運動会の時なんて、父兄みんなの前で発表するときに、仮面ライダーポーズを決めて笑われとったし。どんな頭してるんや? あんなん、私には恥ずかしすぎて考えられへんわ。
うーん、あのレベルに合わせて問題作ってええんかな?
ま、という訳で、今、私は机の前に座り問題を考えています。
悩むわー、と天井を見上げて考えていると、横から手がさっと出てきて机の上の紙をとりました。
「マルバツクイズ……」
なっちゃんが紙を持ち上げてシゲシゲと見ています。
「ちょっと!!」
「……」
「返しな……」
「何?この漢字」
私は紙を奪い取り、なっちゃんの指差した『問題』の漢字をみながら、
「『も・ん・だ・い』や」と教えてやります。
「わい、この前、学校の『学』と『校』習ったで、まだ書けへんけど」
「あ、そう。なるほど、このレベルかー」
「マルバツクイズ、やりたいやりたい」
「あしたや、あした」
「あしたもやるで。わい、優勝してライダーポーズ決めてやるわ」
と言うと、なっちゃんはその場でジャンプしてポーズを決めました。
それだけはやめて……。と思う私を尻目に
「楽しみやわー」となっちゃんが呟きます。
私はなっちゃんを見ながら、このレベルの問題つくんなあかんのね、と改めて思いました。
悩むわーーーー。
「とにかくなっちゃんは部屋から出ていって」
「えーー、なんで」
「だって、あんた、あしたマルバツクイズやりたいんでしょ」
「うん!やるやるやる!!」
「だったら、問題見たらあかん。見たらカンニングや」
「カンニングって?」
「ずるしたら、あかんってことや」
「ふーん」
私は、なっちゃんを部屋から押し出して再び机に向かいます。だけど、しばらくして後ろを見ると、チラッと扉の隙間からなっちゃんが覗いているのに気がつきました。
「コラッ!!」と私が怒ると、
「わい、頑張って優勝するわ」
となっちゃんは言って、今度はバタンと扉を閉めてドタドタと向こうに走っていきました。
なっちゃんレベル、なっちゃんレベル……
天井を見上げて再び考えます。
あ、ひらめいた。
私は、なっちゃんがいないのを確認してからノートに問題を書き始めました。たしかこの前、音読で「大きなカブ」の本読みしてたなー。
よし!
「お話、大きなカブで、カブをおじいさんが引っ張って、おばあさんが引っ張って、その次に引っ張ったのは娘。おじいさんとおばあさんの子供でしょうか? マルかバツか?」
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