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職員室に入り、なっちゃんの担任、山本一絵先生のところに相談に行きます。
「本当にもう!」
と先生は言って、なっちゃんの頭を両手で掴みました。怒ってるけど、先生なんだか嬉しそう。
「怪我する子。いるかなと思って傷薬。服汚れる子いるかなと思って替の体操服。いろいろ準備はしてたんだけどね。でも、まさか、まさかね」
そう言いながら、先生は上履きを一つ持ってきてくれました。
「はい。じゃこれ、予備の上履き。今日の上履きはこれを使って。しょうがないから。それで自分の上履きで外に行きなさい。ちゃんと今日持って帰って洗ってくるねんよ。濡れた靴は袋に入れて持って帰り」
「……うん」
元気なく、なっちゃんが答えました。
「ほら、焚き火もう始まってるよ。暖まっておいで」
先生が、ポンとなっちゃんの背中を押してくれます。
「あ、やばい。私、マルバツクイズの準備しなきゃ」
私は自分の準備をすっかり忘れていました。
やばい、やばい。
「ほら、なっちゃん。私、行くよ」
「……」
「元気だし。外、行くで!」
「……」
「もう、うじうじすんな!! 明日は明日の風が吹く!」
「……ピューって? 寒そう」
「あほ」
「それにまだ、明日ちゃうし。なんなんそれ?」
「もう終わった事うじうじ考えててもしょうがないってこと。ほら、じっちゃんがいつも言ってるやん。さ、外行って楽しも」
「……うん」
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