第4話 私は魔女

1/1
前へ
/10ページ
次へ

第4話 私は魔女

 はあ、はあ、はあ、はあ  私は私は顔を上げた。  疲れたわ。  でもまた新しいことをやりとげた達成感があるわ。 「もう良いわよ。ソフィアちゃん」 「終わったの、お姉ちゃん」 「えぇ、一通り考えられることはしたわ」 「治ったの?」 「そうね、後はお母さんの体力次第だね」 「う、う、ありがとう。パメラお姉ちゃん」 「本当でしょうか!私は治ったのでしょうか」 「えぇ、治ったはずよ」 「あ、ありがとうございます。なんとお礼を言ったら良いのか」  うぇ~~~ん!!  今まで我慢していたのか、ソフィアちゃんが泣きだした。 「ソフィア、今までごめんね」 「お母さ~~ん」  エリーナさんはソフィアちゃんを抱きかかえている。 「でも安心しないでね。免疫力の低下や栄養状態の悪化などが重なると、また同じ病気になるから」 「ど、どういう事でしょうか?」 「今回の原因は栄養が足りなくなり、免疫力が下がり悪い菌に感染した、てことね」 「はあ?」 「つまり美味しいものをたくさん食べて、体力を回復しないと駄目だと言う事よ」 「で、ですが、そんなお金は我が家にはありません」 「あるわよ」 「えっ、どこにでしょうか」 「ここ!」  私は肩から下げているポーチを叩いた。 「それは、どう言う」 「実はソフィアちゃんとは、森で出会って」 「森で、でしょうか?」 「そう丁度、お母さんにあげる薬草を探している時に、サーベルウルフの群れに見つかり追われていてね」 「な、なんていう無茶な事を、この子は」 「そこに私が通りかかり、サーベルウルフの群れを倒したのよ」 「倒したですって?サーベルウルフの群れをですか」 「そうだよ」 「お姉ちゃんが親指と人指し指を立てたら、パン、パン、て音がしてサーベルウルフが吹き飛んだのよ」 「吹き飛んだ、て。パメラさんは魔法使いなのでしょうか?」  はい?  今までの流れでそれを言いますか?  貴方を直したのも、魔法ですよ。  はっ!  エリーナさんが突然、思い付いたようにベッドから降り、両手を胸の前で組み跪いた。 「聖女様!」  あっ、またこれなの。 「ち、違います、エリーナさん。さあベッドに戻って」  私はエリーナさんをベッドに座らせた。 「ソフィアちゃんにも言いましたが、私は既婚者なので聖女ではないのよ」  しばらくエリーナさんは、きょとんとした顔をしていたがあぁ、と言って頷いた。 「お母さん、どうして結婚してると聖女様になれないの?ソフィアにも教えて」 「あなたがもう少し大人になったらね」  エリーナさんは優しく微笑んで、ソフィアちゃんの頭を撫でた。 「さっきの話だけど結果として、ソフィアちゃんがおとりになって引きつけた、サーベルウルフが13匹だから半分取り分をあげるわ」 「助けて頂いた上にどうして、そこまでして頂けるのでしょうか?」  どうしてだろう?  パメラ達家族はお金に困らないほど、生活に余裕があった。  ただそれだけ。  自分に余裕があってこそ、他人に目を向ける思いやりの気持ちが持てるからだ。 「なんとなくよ。金は天下の回りものて言うでしょ」 「か、かねは天下の、なんでしょうか」  分かる訳がなかった。 「パメラお姉ちゃんはマジック・バッグを持っているのよ~。そこにサーベルウルフを仕舞ったの」 「マジック・バッグの様な高価な物まで、お持ちなのですね」 「お姉ちゃんのマジック・バッグは、旦那様から(能力を)もらったんだって」 「それはパメラ様はもしかしたら、どこかの高貴な貴族の方でしょうか?」 「やめてよ、パメラ様なんて。ガラじゃない。私は魔女よ」 「魔女ですか」 「お姉ちゃん、かっこいい」 「でへでへへへ」  中二病を病んでいるパメラには、魔女という響きがとてもカッコよく思えた。  だが旦那様の知識を吸収しすぎて、常識とはズレていることに気づかなかった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加