第6話 組長

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第6話 組長

「 パコ~~~~ン!! 」  殺傷能力ゼロとは思えないほどの音がして、ハリセンを持った女性が立っていた。 「なにをやっているの、フェイ」 「組長、パメラさんに説明してるんですよ」  フェイさんは頭を押さえながら、叩いた人に向かって話している。  不思議だ。  痛くはないのにあの音だけで、痛いような錯覚に陥り頭を押さえてしまうなんて。  恐るべしハリセン攻撃。  肉体には痛みを与えず、精神のみに影響を及ぼすなんて。 「あの~、パメラさん大丈夫ですか?」  あっ、いけない。  ダーリンもそうだけど高速思考で物事を考えていると、考え過ぎてつい独り言が多くなってしまう。 「えぇ、大丈夫。その人は?」 「この猟師組合のまとめ役、殺さずのアサシン組長です」  あ~、組合だから組長なんだね。  わかるけど、さ~。 「私がここの組合の組長アサシンだ。受付のフェイが失礼をした」  ブッ。  身長が154cmの私より頭一つ高い、その女性が挨拶をしてきた。  髪は短く筋肉質のマッチョな女性だった。 「別に良いんですねど。解体を含めた買取をお願いできますか?」 「買取だね。どこに持っているのさ?」  私はダミー用に首から下げている、ポーチを叩いた。  ストレージは空間魔法だ。  だから何もない空間から出したら変だからね。 「わぉ、マジック・バッグかい。凄いものを持っているね。こっちに来な」  私は促がされ奥の買取カウンターの中に入った。  ドアを開けアサシンさんと、なぜかフェイさんも一緒に倉庫の中に入る。 「さあ、出しな」  私はストレージからサーベルウルフを13匹出した。  ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!     ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!ドサッ!       ドサッ!ドサッ!ドサッ! 「おい、おい、おい、こんなに出されちゃあ、他が置けねえぜ」  声のした方を見ると、スキンヘッドで頭に鉢巻を巻いた男が居た。 「ラザールか、解体と買取を頼む」 「でもこんなに出されちゃあ」 「なら、早く片付けるんだね」 「分かりましたよ。しかしサーベルウルフをこんなに倒すなんて。奴らは群れでいるから、まとめて倒すのは一苦労なのにな」 「で、どのくらいでできるの、おじさん?」 「おじさんだと、お前は誰だい?」 「私はパメラよ。この解体の依頼主よ」 「俺は解体チームをまとめてるラザールだ。丁度、この時間なら手の開いている奴が多いから、3時間あればできるぜ」 「なら、その頃にまた来るわ」 「あいよ、これは預かり書だ。大事に持っておけよ」  3時間か。  何をして時間を潰そう。  預かり書を受け取り、私は猟師組合を後にした。   「こりゃあ、すげえな」 「どうしたんだい、ラザール」 「見てくださいよ、組長」 「奇麗に狩っているじゃないか。それこそ血のりの…後も…無く。え?」 「そうなんです。どこも傷ついていないんですよ」 「じゃあ、どうやって」 「これを見てください」 「これは?」 「中の骨が折れてるんですよ。毛皮を傷つけることなく、フルボッコで殴り倒したとしか思えません」 「そんな事が…」 「出来る奴を、見たことはありませんぜ」 「だろうね。フェイちょっといいかい」 「はい、組長」 「私の部屋に来なさい」 「なんですか組長」 「まあ、かけなさい」  フェイを私の部屋に招き入れた。 「パメラさんの事について話なさい」 「話なさい、て言われても今日あったばかりですから」 「何でもいいから、思い出しなさい」 「パメラさんは、この国の人ではないみたいでした」 「どうしてそう思うの」 「だって登録の時に猟師組合は冒険者ギルドと、どう違うのかと聞いてきたし」 「他の国で、冒険者だったのかもしれないわね」 「他になにか言ってなかった?」 「そうですね、自分の事を魔女と言ってました」 「魔女?魔法使いならわかるけど、どういう意味かしら?」 「私もそう思いました。魔女なんて聞いたことがありませんから」 「聞いてみたの?」 「聞いてはいけない様な気がして、聞けませんでした」 「そうね、分かったわ。ありがとう、もう行って良いわ」  フェイが部屋を出て行った。  私は考えた。  
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