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「──頼む! 金を貸してくれ!!──」
来客の男性は、ボクが家のエントランスホールに設けられた居間兼応接セットのソファーに座って話を聞く準備が出来た次の瞬間、座っていたソファーから立ち上がるやカーペットの敷かれた床に跪き更には額までも床に着け、開口一番に先の借金の申し入れを口にしました。
来客である彼こと──ガメッツさんの隣には彼と同じく床に跪き額を床に着けている男性がおり、彼の名はランテ・クー。ガメッツさんを兄貴と慕い、ガメッツさんと共に宝探し屋を生業にしている人です。
ボクと彼らとは現在から約二ヶ月ほど前に共に“ニーショの遺産”と呼ばれる財宝を苦難の末にトレジャーハントした仲で、一度きりの冒険であったとはいえ、互いに親睦を深め友人同士となった間柄。
しかし、お金を貸す貸さないの話に入る前に、どうしても解せない事があるので彼らに問い質します。
「──…………どうやったら、一生湯水の如く使っても使い切れないであろう金額になるお宝をたった二ヶ月ほどの短期間で浪費して、借金まで拵えられるんですか?」
多分に呆れを含ませた声音でのボクの問に、
「……い、いえ、姐さん、兄貴がすったのはオイラたちの取り分だった六割の内の二割っす。残りの四割はオイラが厳重に管理してるっすから──」
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