プロローグ

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 ランテ君が答えてくれますが、彼の話を聞くに新たな疑問が生じました。  ──それにしも……、二割って!? それでも充分、一生遊んで暮らしてもお釣りが有り余るくらいの金額になるでしょうに…………。信じられません……………………。 「──でしたら、何でボクらに借金の申し入れをしに来たのですか? ちゃんと、有るんですよね?」  重ねて問うボクの問いにランテ君は顔を上げてバツの悪そうな表情で、 「──実はっす、オイラが管理している分は、既に換金してセキュリティの確りした信用のおける銀行に預けてるんすが、セキュリティが確りしている分、一定額を超える高額のお金を引き出すには時間が掛かるんすよ。そして、オイラが銀行からお金を引き出すまでの間に兄貴の借金返済の期限が切れてしまうっす。そうしたら、最期、兄貴は残りの一生涯を借金を作ったカジノでタダ働きになるっす……」  ……………………………………………………………………………………  ランテ君の言葉にこの場に居合わせている、ボクを含めた当事者以外はガメッツさんに沈黙と共に目を向け「何してんの、コイツ……?」といった感じの軽蔑の視線を送ります。  その視線に耐えかねたか、ガメッツさんは、 「──た、頼む! マジで、これから先の生涯をタダ働きで過ごすなんて、オレ、まっぴらだ! だから、頼む!! 嬢ちゃん、金を貸してくれ!!」  まるで床に敷いたカーペットがすり切れるのでないかと思えてしまうほどに、ガメッツさんは床に額を擦り付け懇願します。
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