プロローグ

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 朝、いつもよりも早く目が覚めて、漠然と今日はいいことがありそうな予感がして、お気に入りのスカートを穿く。が、目玉焼きにかける醤油が飛んでしまい、スカートに染みが出来てしまう。肩を落としながら着替えて染み抜きをしていたら出勤時間になってしまい、朝ご飯も食べないまま家を出る。  よくあることだ。  経験から学べばいいものを、なぜか『今日こそは大丈夫』なんて思ってしまうから不思議だ。  だが、私には例外がある。  他人への『勘』はよく当たる。  それも、ほとんどが『悪い勘』だ。  小学生の頃は自覚がなかった。  何か察するものがあったのかもしれないが、それを『勘』だと認知できていなかったのだと思う。  だが、大人になった今は思い当たることがなくもない。  例にも挙げたように、いつも通っている道をどうしても通りたくなくて、一緒に通学している友達にそう告げたことがあった。が、もちろん、小学校で決められた通学路を外れるのは悪いことだ。他の友達に見られて先生に言いつけられたら、叱られる。友達もそう言って、いつもの交差点を曲がろうとした。  私は友達の名前を呼んだが、友達は振り向きも立ち止まりもしなかった。  結果、友達は目の前で自転車とぶつかってしまった。  幸い、腕とお尻を打撲し、掌と太腿をすりむいただけだった。
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