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プロローグ
『勘』の良い人、は珍しくないだろう。
それは、『あ、この子はあの人が好きなんだな』とか、『この二人、くっつきそう』なんてドキドキキュンキュンしちゃうような勘だったり、『あー、それは無理っぽいなぁ』とか、
『やめておいた方が良さそう』なんて雰囲気から察する漠然とした勘だったり、ドラマや映画を観ていて次の台詞やシーンが想像通りだったなんて予知的な勘だったり。
もちろん、『勘』と表現しているだけで、確信が持てる根拠がある場合や、前例や経験がある場合もあるだろう。願望がそう思わせている場合もあるかもしれない。
そもそも、当たるか外れるかは別として、割と日常的に誰もが『勘』のようなものを感じながら生活しているのではないだろうか。
要するに『勘』とは、選択する時の言い分として最も簡単に自分と周囲を納得させられる、最も適当な根拠だ。
『気分』と表現することも出来るだろう。
たいした理由もなく、今日はいつもと違う道を通ろうかな、と思うのは、『いつもの道を通ってはいけない気がする』か『いつもと違う道を通りたい気分』のどちらかだと思う。
そうした結果、いつもの道で事故が起きていたら、『嫌な予感が当たった』と思い、いつもと違う道を通ったことで素敵な人や店を見つけたりしたら、『いいことがありそうな予感があった』と思うはずだ。
選択は常であり、無意識だ。
つまり、人は誰しも無意識に、自分の『勘』を頼りに生きている。
私も例外ではない。
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