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世界で一番美しい涙
*
一ヶ月後。相変わらず私は虐められっ子で。一ヶ月という時間が今は一年ほどに感じる。毎日肩幅が狭い。今や休み時間などクラスメイトが沢山いるところで虐めはあった。相変わらず傍観者は気にしないよう努力している。
「何故こんなことをされるの?」
私はそう呟いた。
(何もしていない。何もさせていない。ただ、生きていただけなのに。苦しい)
私はそう心の中で嘆く。
誰もその嘆きを知らない。
私はポロリ、と一粒だけ涙を零した。
*
僕の目には、彼女の目から溢れたたった一粒の涙が映った。その涙が映した暗い世界と共に。
僕はいたたまれなくなって飛び出した。
「ねえ!本当に大丈夫なの!?」
「ううん。どうやら大丈夫じゃ無いみたい。前は強がってただけ。ごめんね、凛君」
彼女はそう言って僕の名前を口にした。
少し遅れたが、僕の名前は“紫陽花 凛”だ。こんな名前なので、僕も昔は少しいじられていた。
『凛ちゃん〜、ってなwww』
『あんたその名前調子乗ってるよね〜。私も“高木”なんかじゃなくて紫陽花だったらな〜www』
こんな言葉がずっと僕の頭の中を駆け巡っている。
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