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正義ヒーロー、のはずが
「――さぁみんな〜、紙芝居ですよ〜」
「「え〜っ」」と不満そうな顔、私の幼稚園の子たちはみんな紙芝居があまり好きじゃないようなんです、時代ですかね〜。
なのでなので、そう来るだろうと子どもたちに背を向け私は準備していた物があります、それは、
「ちょわっ、正義のヒーローですっ!」
私は赤いマスクに身を包みヒーローに変身したのです······。
な、なんでしょう、し、静かなような······。
「「わははははぁーっ!」」
な、ななんとっ、子どもの笑い声。
「み、みんなっ、な、なんか変ですか?」
「はははっ、先生それヒーローじゃないしっ」
「怪獣だよ」
「タコの怪獣みたい」
タコの怪獣······ガックシッ、ヒーローといえば赤かと思いまして赤マスクを百均で買ったのにそれがタコの怪獣なんて、はぁ〜っ、子どもは時に残酷です。
「ははっ······吉田先生」
「あいかわらずですね」
なんか内田先生や知恵先生にも引かれていたような。しかしこうなったら仕方がないので、
「ガオーッ、タコの怪獣だぞー」怪獣として開き直るしかありません。
「「ギャハハハハハーッ」」
「まてーっ」
でもこういうとき必ず、
「うえ~ん、こわいよーっ」
「あーごめんなさいごめんなさい、よしよーし」
怖がる子もいるんです。
「せんせ~、マスクこわいよ〜っ」
「あーはいはいマスクですね······はずしましたよ〜」
子どもというのは十人十色なので正解はありませんね。まあ、かわいいから許しちゃうんですけど。
あれやこれやと時間を待っているとき、ガチャッ、内田先生と知恵先生が扉になぜか鍵を掛けました。
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