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子どもたちのため
私たちはいま門の近くに2人の黒ずくめに囲まれています。外には黒いワゴン車が、あそこに入れられるのでしょうか。
キョロキョロしている黒ずくめ達、なんとか弱そうな人はいないかと思っていると、
「もう少しで警察がくるわね」
一人女性のような声、あの人に体当りして上手く盗めば、でも失敗すれば······。
「せんせい、おしっこ」
「エヒメちゃん······」
怖くて震えてトイレに行きたくなったのでしょう、悩んでる暇はないようです。
「――ボス、こいつらは」
「まぁまて、そいつらは交渉するための大切な人質だ」
ボス? かすかにお爺さんのような声に聴こえます。
「警察も人質がいりゃ手出しはできねえ」
ボスの声には顔を黒いワゴン車に顔を向ける2人、それと一人の私にお腹を殴った長身の黒ずくめは男の内田先生をとくに警戒しているのか、たまにみてます。つまりチャンスは彼らがボスと話すタイミング······。
「しかしボスの執念は恐ろしいわね」
「あの人にも誇りがあんのさ」
「わかってるわよ、ったく」
気を緩めた瞬間、
「やぁあああーっ!」
「吉田先生っ!」
黒ずくめの女の人に体当たり、
「この変なヤローっ!」
でも彼女はすぐ体制を立て直しました。
「てめぇっ、ぶち殺すっ!」
「まっ、まってっ!」
カチャッ、私はそう言って奪った銃を構えたのです。
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