パワーストーン

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 ある夜、その飲み屋で飲んでいたら、Kが上機嫌な様子でやって来た。  しかも給料日でもないのに、来るやいなや万札を何枚か出して、ツケをいっきに支払った。 「あれ、Kさん。なんか景気よさそうじゃん」  俺が驚いて言うと、 「おお。競馬で万馬券当てちまってよ」  豪快に笑って、パンパンになった財布を見せてきた。中には、万札が何十枚と入っていた。 「みんな、ご祝儀だ。今夜は全部、俺が奢るぜ!」  顔見知りの常連客ばかりだった店の中が、わっと沸き立つ。  俺は、珍しいこともあるもんだ、と思いながらご相伴にあずかった。  Kと乾杯をしたとき、ビールジョッキを握る彼の手首に、キラリと光るブレスレットが巻きついていることに気がついた。小さい真珠のような白い石が、数珠のように連なっている。 「Kさん、そんなの付けてるの、珍しいね」 「おお。これな、俺の女神様さんだ」 「女神?」  騒がしい店内で、Kは続けた。
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