オーディナリーデイズ

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「はいオッケー。お疲れ様」 スタジオの中のスピーカーからディレクターのしゃがれた声が聞こえた。 これで今日は解放される。 私は大きく息を吐いて、スタンドマイクのスイッチを切った。 つまらない曲。 歌いたくない歌。 踊りたくないダンス。 着たくない衣装。 すべてが理想と違っていた。 それでも仕事なのだと自分に言い聞かせて日々、アイドルとしての仕事をこなす。 やりたかった事とはまったく違う事をするのがこんなに苦痛なんて思ってもみなかった。 「いちいち嫌がってると仕事なんて直ぐに無くなっちゃうよ。芸能界なんてそんな世界。アイドルの代わりなんていくらでもいるからね」 マネージャーとは名ばかりの偉そうな事務所の伊山部長はいつも言う。 確かに代わりなんていくらでもいる。 三か月レギュラーとして出してもらっていたテレビ番組のコーナーも、後輩のアイドルグループにあっさりと取られてしまった。
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