天の声は私!か○子じゃ!

3/16
前へ
/16ページ
次へ
“がやがや” “がやがや” “がやがや” “ぞろぞろ” “ぞろぞろ” “ぞろぞろ” 「ふ~、ダイコン、もうすぐ村に着くかな?」 「隊長! 村が見えました!」 「そうか、やっと着いたか。 しかし、スライム達…随分増えやがったな!」 「これも、隊長の人徳で…」 「何が人徳だよ!僕は何もしてないじゃないか!」 「そこが隊長のいい所で…」 「なんだそれ? ところで、何匹いるんだい?」 「へい!100匹!」 「100匹!! また増えたね~」 「きりの良いところで!」 「おっ!村に着いちまった。 “全員止まれ~~~!” ダイコン、偵察に行って来て!」 「えっ!あっしが?」 「ダイコンはいつも暇そうじゃないか!」 「それは隊長だって…」 「いいから行けよ!」 「分かりました。…で何を偵察するんです?」 「ん~と…村の大きさとか、何人居るのとか、…色々だ!」 「分かりました」 「ただ今、帰りました!」 「えっ!もう、帰ったの?」 「へい!」 「じゃ、村の大きさは?」 「生まれ故郷の隣村と同じくらいです!」 「…………じゃ、村人は何人だ?」 「生まれ故郷の幼なじみのポンキチの家族と同じでした!」 「…………何も分からねえ?」 「あと、犬が二匹と猫が三匹!……色々と…」 「分かった!僕が悪かった。ご苦労さま」 「ご苦労さまって…褒めてもらったよ!」 「隊長!大変です!」 「たまご、どうした!」 「へい!この村の村長が隊長に……」 「村長が?……分かった。会おう」 厚揚げは村長に会う事に… 「お願いです!命ばかりは……」 村長はいきなり手を合わせた! 「えっ!あ…いや、その……」 厚揚げは困った。 「この村は貧しい村で…あなた達にあげる物は何もありません」 村長は涙ながらに訴えた。 「いや、村長…僕達は旅の者です。 少し休ませて頂ければ、それで…」 「えっ!魔物の山賊じゃなかったのですか?」 「僕達のどこが山賊に見えます?」 スライム達、100匹は小さな村を取り囲んでいた。 「どう見ても、スライム達の山賊にしか…」 「まぁ…、見方によっては見えなくも無いかな……ゴホン!」 「この村には、若者がいません。 年寄りと子供だけで、あなた達の面倒を見る事ができません」 「村長さん、若者達は何処かに行っているのか?」 「それが、魔王に連れて行かれたのです」 「魔王め!」 厚揚げは考えた! 「それなら、私達が何とかしましょう」 「何とかとは?」 「少しこの村でやっかいになる間、村の為に何かお手伝いしますよ!」 「本当ですか?」 「皆、いいな~!」 “オォ~~~~!” 厚揚げ達は村の再建を手伝う事になった。 「お前達は新しく家を作れ! お前達は山で食べ物を探してこい! お前達は畑を作れ! お前達は……」 「隊長!」 「なんだ!」 ダイコンとたまごが…… 「実は…」 「なんだよ!ハッキリ言えよ!」 「私達も隊長の言う事を聞きたいのは山々なんですが……」 「なに~、手伝うのが嫌だってのか?」 「いや、そうじゃなくて…あっしを見てください」 「えっ?スライムのお前がどうした?」 「手伝いたいのは山々なんですが…手も足も出ないんで!」 「手も足も出ない……て、確かに手も足も…無いな」 「あっしらスライムは、う○この型をしているので手も足も出ないんです」 「確かに…う○この型をしているな」 「う○こが悪いんじや無いんです、私達が悪いんです」 「いや、う○こもお前達も悪く無い」 「ダッ~! もう! う○こ、う○こって…また、強制非公開になったらどうすんのよ!」 天の声が聞こえた。 「えっ!強制非公開って?」 「アヮアヮ! 何でも無いわ!」 久しぶりに天の声が現れた。 「おい!か○子~」 「だから~名前を呼ぶな~ 何よ?厚揚げ」 「スライム達が手も足も出ないって…」 「何の話~?」 “フムフム” “フムフム” 「なるほどね。分かったわ」 「何とかしてくれるのか!」 「何とかするけど、私じゃないわ!」 「じゃ、誰が?」 「決まってるじゃない!スライム達自身よ!」 「スライム達自身て……」 「いいかい!よくお聞きよ! スライムってなに?」 「えっ!スライムって…ぷよぷよでふにゃふにゃで……」 「だから~、体の型を自由に変えられるよね。って事は~」 「って事は~……」 「わからんのか!  人間の姿になる事も出来るって事!手も足も出るって事よ!」 「あっ!なるほど!」 「あっ!なるほど!じゃないわよ! いい、固定観念は捨てるのよ! そうすれば道は開ける! ……私良いこと言った~?」 誰も聞いていなかった。 こうして、勇者達は少し村に留まる事になった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加